『集団生活に大切な心を育むためには』【イクウェル高宮駅前教室】
☆。.・’☆こうじ先生のコラム☆’・.。☆

みなさま、こんにちは。

お元気ですか、

季節の変わり目、お体ご自愛ください。

さて、

最近、3歳児検診などでやたら元気に走り回る子どもが多くなっているというお話をお聞きしました。

親の注意を聞かないというよりも聞こえていないようだということです。

そういえば、子どもが幼稚園などの集団生活の中でうまくやっていけていない、ルールを守れないようなのですがどうすればいいでしょうか?などのご質問を受けることも増えてきたような気がします。

そこで、第4回コラムのテーマを「感覚統合理論について」にします。

「感覚統合理論」とは?

アメリカの作業療法士、エアーズ博士が提唱した発達理論です。

脳機能のトラブルを感覚の調整によって改善しようとする療法のことです。

感覚統合の基本的な考え方は以下の3つのポイントに収斂されます。

 

1.感覚は脳の栄養である

脳が成長・発達するためには、食べ物などの栄養素と感覚情報がとても大切な役割を担っています。

人間の脳は、成長過程において、その時期に適した感覚情報が入ることで、成長・発達を続けます。

 

2.感覚が不足すると脳に混乱が起こる

人間の脳が感覚に刺激を受けた際に脳の中でどんなことが起こるのでしょうか?

感覚統合理論では「統合の過程」と言って脳の中で行われていることを以下の様に定義づけています。

あらゆる刺激を感じ取って、「知る」 ⇒ 入ってきた刺激情報の中で、注意すべきものと無視するものを決定する ⇒ 過去の経験との関連付けをする ⇒ 関連付けに対応するために何が必要かを判断し、決定する ⇒ 入ってきた情報に対して出された応答を実行する

この、感覚のプロセスがうまくいかないと今やるべきことの判断がつかなくなったり、無駄に動いたりしゃべるなど、混乱として行動に現れてしまうのです。

 

3.感覚には交通整理が必要である

感覚統合につまずいている子は、集中力がない、多動、姿勢のくずれ、記憶力が弱い、不器用、触覚防衛、聴覚防衛、ボディイメージ(身体地図)の未発達、など多様な現象が見受けられます。

感覚のネットワークが脳の中でうまく交通整理(統合)されないと、所謂育てにくいとされる子どもの特徴が表出してしまいます。

この交通整理の力をどの様に育てていくのかが集団生活の中でうまくやっていける子ども、ルールを守れる子どもになるのかの鍵の様です。

 

「感覚統合」を掘り下げてみる

感覚統合とは、

「脳に流れ込んでくるさまざまな感覚情報を交通整理する脳の働き」

ということです。

遊びや運動を通して情報が正しく情報整理されて脳に伝わる状態のことを指します。

「感覚」とは、外界からの光や音、匂い・味・温度、触れるなどの刺激を感じる働きと、それによって起こる意識のことです。

一般的に知られている感覚には「五感」(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)というものがあり、これらはすべて意識のもとで使われる感覚です。

一方で、これとは別の無意識で使われるとても大切な3つの感覚があると言われています。

それが、感覚のくずれと深い関係があると言われている次の3つの感覚です。

「前庭感覚(平衡感覚)」「固有受容覚」「触覚」

です。

これらの感覚を調整してあげること「感覚統合」には非常に大切だということです。

●「前庭(平衡)感覚」 自分の身体が、地球の引力に対して、まっすぐなのか、傾いているのか、逆さまなのか、止まりつつあるのかに関係する感覚です。

重力に対しての体や部位の位置、姿勢、動作を知ることに関係しています。

●「固有受容覚」 筋肉の曲げ伸ばし(伸張・収縮具合)、関節の曲がり方、腱の状態に関する感覚です。

力加減や手足の動きや位置を感じるのに関係しています。

●「触覚」 皮膚は、外界との境目、皮膚の表面には、神経の末端受信機が配置されていて、痛みや温かさ、接触などを感じ脳に伝えています。

一般に扱いにくい、育てにくいとされるお子さまの中には、この触覚に敏感なお子さまが多いようです。

 

これらの感覚の回路作りが脳の中でうまくできていないことで、情報がうまく交通整理されないでいると冒頭にお話したような状態になりやすくなるということです。

 

なぜ「感覚統合」なのか?

このようなデータがあります。

2008年のデータでちょっと古いのですが、「ヒコーキ姿勢(ヒコーキブーン - うつ伏せであごと足を持ち上げた状態)」を50秒維持できる年齢を比較すると20年前の1988年では、4歳後半でできていたのが、6歳後半でようやくできるようになるという結果が出ました。

2歳も遅れているという結果です。

また反対の姿勢ですが、仰向けで「ボールの姿勢(頭とひざをくっつける状態)」を40秒保つ年齢を比較すると1988年は5歳後半で、2008年は7歳後半だったそうです。

こちらもやはり2歳遅れていたそうです。

ヒコーキの姿勢は、重力に逆らって背中を伸ばす、つまり座る・立つ時の姿勢をよくする基礎になります。

ボールの姿勢は、重力に逆らって頭を持ち上げ、腹筋を使う、つまりしがみつく、ぶら下がるなどの基礎になります。

実は、こうした子どもの姿勢と生活は密接な関連があると言われています。
例えば以下の様な例です。

・姿勢は遊びの中で発達する

・手の使い方に影響を与える - 胴体がしっかりしないと、手がうまく使えない

・さまざまな活動の基礎 - 座る・立つ・歩く・走る ⇒ 身体地図の基礎になる

・学習の基礎 - 姿勢を保ってしっかり見る・聞く・読む・話す・書くができる

・根気や持続力の基礎になる

データの結果は、子どもの生活環境の中で上記の内容をしっかり育てる環境が減ってきているということなのでしょう。

 

お子さまにこんなようすは見受けられませんか?

「友だちを叩く、突き飛ばす」 - 本人はそのつもりはない

「すれちがいざまに、ちょっかいを出す」

「ぴょんぴょん跳びはねる」

「並んでいるとき、ケンカをしやすい」

「大きな音で、気が散ったり、怖がったりする」

「ベタベタしたものにさわれない」

「人の話を聞いていなく、視線が合わないことが多い」

「コップに水をうまく注げない」

「ボタンのとめはずしが苦手」

など、いろいろですが。

いわゆる不器用な、扱いにくい子、育てにくい子といわれるようすをしめす子です。

これらの背景には、「感覚のくずれ」が関係していると言われています。

 

原因と対処法

★触覚につまずきがあると

・少し触られただけでも、叩いたり、突き飛ばしたりする

・通りすがりにちょっかいを出す

・指しゃぶりや爪を噛むなど

・人の髪の毛を触ったり、匂いを嗅いだものを舐めたり、かんだりする

・ほおずりをいやがる

・ボタンの留め外しが苦手

・お箸がうまく使えない

・「ぬるぬる」(のりや粘土など)「ちくちく」(砂や芝生など)「ふわふわ」(ボア生地、ぬいぐるみ)「ひえひえ」(金属や板間など)を警戒したりする

■触覚のつまずきに対する対策いろいろ

・ギュッとそっと抱きしめる

・乾布摩擦をする

・くすぐる

・肩や背中をトントンする

・からだにタッチングする

・抱っこやおんぶをする

・氷や水、お湯や使い捨てカイロなどをさわる

・人工芝の上を歩く

・袋の中に入れたものを、手で触らせて当てっこする

などなど。

 

★ 固有受容覚につまずきがあると

体の動きがぎこちなく、不器用だったり動作や動きが、がさつで乱暴にものを扱ってしまう

粗大運動 - 全身を使っての運動

・体操や球技、踊りなどが不自然である

・リトミックやお遊戯なども苦手

・人や物にぶつかったり、転んだりする

微細運動 - 細やかな運動 指先の緻密な動きや腕や足の細やかなコントロールが苦手。

・あやとりや折り紙が難しい

・コップにジュースがそっと注げない

などなど。

■固有受容覚のつまずきに対する対策いろいろ

・手足の曲げ伸ばしをさせる・・・屈伸運動

・手押し車をおさせる - ベビーカーに荷物を載せたものをおさせるなど

・腹ばいの姿勢からヒコーキブーンをさせる

・棒にぶら下がらせる - 鉄棒・雲梯など

・ハンドルを回す

・荷物を持って歩かせる

・じゃれつき遊びをする - しがみつかせたりする

・ジャングルジムをのぼらせる

 

★前庭感覚につまずきがあると

・脊髄系 - 地球の重力に対しての、体の軸を維持・調整することが苦手になって、すぐに寝っころがったり、だらけて見える、転びやすかったりする。

・動眼系 - 動くものを目で追う「追視」や所定のものをじっと見る「注視」や、視線を移す「眼球運動」などが苦手になり、本の飛ばし読みをしたり、球技が下手だったり、板書をノートに書き写しにくかったりする。

・自律神経系 - 快・不快といった感覚や、小さな揺れや不慣れな姿勢を極端に怖がったりする。

・姿勢がくずれやすい

・落ち着きがない

・高いところにのぼる

・一人でクルクルまわる

・ぴょんぴょん跳びはねる

・走り回る

・つま先立ちをする

・本を読むのが遅い

などなど。

■前庭感覚のつまずきに対する対策いろいろ

・腹ばいの機会を増やす

・ハイハイをたくさんする

・ブランコの揺れ遊び

・抱いてぐるぐるまわる

・キャッチボール

・マット運動 - 前転・後転・側転(でんぐり返り・ゴロゴロ遊び)

・逆立ち

・ジャングルジムをのぼらせる

・トランポリン

・ハンモックで揺れる

・滑り台

・鉄棒の前回り

などなど。

 

まとめ

「感覚遊び」が子どもの体や心、脳の発達に与える影響と対策についてお話をさせて頂きました。

前回のコラム、「赤ちゃん体操・マッサージ」がいかに有効で大切かということがお分かりいただけましたね。

 

人間についていろいろな分野の勉強をしてまいりましたが、やはりこの「感覚統合」はとても大切だと いつも思います。

ちょっと長くなりましたが、とてもとても大切だと思いますのでしっかり伝えさせていただきました。

 

これらのお遊びは体力を使いますので、お父さまがしていただくと助かります。

お休みの時など時間があったら、たくさん遊んであげてくださいね。